旅の途中

TALLINN #03 


LEICA M9-P / UWH 12mm F5.6 ll
三人姉妹ホテルのすぐ隣りに聖オレフ教会があります。この教会は13世紀に建設され、当時の高さは159メートルもあったそうです。1625年に落雷で尖塔部分が焼け落ちるまで、世界で最も高い建築物だったとのことです。その後も落雷や火災で3度も尖塔を失い、現在の高さは124メートルになっています。いずれにせよこの高さを、ソ連のKGBが悪用したわけです。



LEICA M9-P / SUMMILUX-M 35mm ASPH
塔に登る前に腹ごしらえをしておこうと広場に出掛けると、大好物のジェムソンやエストニア・ワインに引っ掛かり、ついつい過ごしてしまいました(^^;



RICOH GR
で、酒の回った体と酒の回った頭でこのグルグル回る階段を登り続けるのは、非常~にしんどかったです。



RICOH GR
時々うずくまっては写真を撮るフリをして、撮影助手にばれないように小休止を繰り返しました。石の階段はこんな具合にすり減っていて、一体どれほど多くの人々がここを昇り降りしたことだろう.....  なんてゼーゼー息を切らしながら感慨に浸っていると.....



RICOH GR
なんじゃこりゃー! 



RICOH GR
スノコはガタガタするし、屋根も手すりも左に傾いているじゃないかー!  こわいぃぃー!



RICOH GR
見上げれば尖塔がのしかかるように迫ってきます。 こわいぃぃー!



LEICA M9-P / UWH 12mm F5.6 ll
一発で酔いが醒めました。それにしても、さっきまであんなに晴れていたのに、酒にウツツを抜かしている間にすっかり曇ってしまいました。タリンの美しい写真を撮りたかったのに、何だかおどろおどろしい雰囲気になってしまい、残念です。ところで、オレンジ屋根に統一されているタリン旧市街にあって、屋根の色が異なる二つの大きな建物が手前にありますね。これこそがKGBのエストニア本部だったところです。そして、きやつらは聖オレフ教会の尖塔を、あろうことか電波塔として使用していたのです。ひどいことをするもんです。頭に来ました。
もう十年以上前のことですが、ロシア領事館の紹介で「胸に溜まった水を抜いて欲しい」という男を診たことがあります。鋭い目をして、非常に引き締まった体をしていて、無口で不気味な雰囲気を持っている男でした。胸部X線を撮ると左胸腔内に銃弾が写っていました。銃創痕はケロイド状になっているので、かなり前に撃たれたようです。「弾は取らなくていいのか?」と聞くと、「水だけ抜いてくれればいい」とその男は言いました。ぼくは思うところがあって局所麻酔をせずにいきなり五寸釘のようなず太い針をズブッと刺しましたが、男はうめき声ひとつ挙げませんでした。あれは絶対にそのスジの人間だったと思っています。旧KGB本部の建物を見ながら、そんなことを思い出しました。