旅の途中

マリア・テレジアの棺 


RICOH GR / GW-3 / 21mm F2.8 / カプツィーナー教会・地下皇帝廟





ここには12人の皇帝と18人の皇后を含むハプスブルク家の人々の百を超える棺が安置されている。それらの中でもひときわ荘重に葬られているのがマリア・テレジアの棺であった。オーストリアの母と称される偉大な女帝にして、かの悲劇の皇女マリー・アントワネットの母親でもある。ひとしきり写真を撮らせてもらった後、棺の袂にうずくまって黙祷を捧げていると、不意に、シェーンブルン宮殿で見た1枚の肖像画が思い出された。絵の中で彼女は幼い皇女達に囲まれて幸せそうに微笑んでいた。私はこの世の無常を思わずにはいられなかった。

また、マリア・テレジアはオーストリア帝国全盛期の女帝として国際政治の中心に君臨する一方で、国民に対して「男女の仲は清らかであるべし」とのお触れを出し、浮気をした者には厳罰を科し、駆け落ち禁止令を公布するなど風紀粛清にも心を砕いたと言われる。そんな逸話を思い出して、いささか身に覚えのある者としては何となくバツの悪い気持ちにもなるのであった。曲はフォーレの「レクイエム」ニ短調から「ピエ・イエス」。




LEICA M9-P / SUMMILUX-M 35mm ASPH
棺を守る女官はほぼ等身大であった。この棺がどれほど大きいものか、推してご賢察いただきたい。何故に斯くも大きいのか。
何故なら、マリア・テレジアは彼女より15年も先に亡くなった最愛の夫フランツ1世との合葬棺を望んだからである。




RICOH GR / GW-3 / 21mm F2.8




LEICA M9-P / SUMMILUX-M 35mm ASPH




LEICA M-E / SUMMARIT-M 75mm F2.5
棺の上には 天使に祝福されて 見つめ合うふたりが.....




LEICA M9-P / UWH 12mm F5.6
地下の霊廟で、永遠の愛を見た.....




LEICA M-E / SUMMARIT-M 75mm F2.5 
願わくば、ぼくらも.....




RICOH GR / GW-3 / 21mm F2.8 
こちらはハプスブルク家最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世(中央)と皇后エリザベート(左)、皇太子ルドルフ(右)の棺である。欧州一の美貌と謳われたエリザベート(愛称シシィ)は、国を顧みず、自由奔放な生き方をした挙句、イタリア人のアナーキストに暗殺されてしまう。それでも皇帝ヨーゼフは終生エリザベートを愛し続けたといわれる。もしもマリア・テレジアが生きていたならどれほど嘆息したことであろうか.....