旅の途中

ローマ追懐 #3 


RICOH GR DIGITAL3 / 2011年
かつてローマの玄関口といわれたポポロ広場ではオベリスクに向き合う形で二つの教会が並んでいる。通称「双子の教会」。非常に似ているが、よく見ると微妙に異なってもおり、それぞれ独立した別個の教会である。ガイドブックやネットの情報によれば、内部は残念ながら見学不可となっている。ところがである。近づいて行ってみると、向かって左の教会のドアが開いていたのである.....



RICOH GR DIGITAL3
中に入ってみると、なんだか様子がおかしい。礼服を着た人達が祭壇のほうに集まっている。しかしカジュアルな服装の人達も大勢いるので、これは一体どうしたことだろうといぶかりながら右側の通路をそっと進んでいった。そうしたら祭壇には棺が置かれ、参列者らが別れを告げているところだった。ぼくはびっくりして引き返したが、そのとき、得も言われぬ柔らかい光が差し込んで中央の画(恐らくポポロのマドンナ)を浮かび上がらせた。とっさにこの1枚を撮ったが、非公開の教会にのこのこ入って行って、厳粛な葬儀の場を汚してしまったという申し訳なさと悔恨、そしてもう二度と出会えぬかも知れぬあの光を M8.2 で撮りたかったと..... そうした思いがこの写真を見るたびに甦ってくるのである。