旅の途中

温泉旅館 銀婚湯 


LEICA M-E / SWH 15mm F4.5 Ⅲ
この温泉宿は、めでたくも大正天皇が銀婚式をお迎えになったその日に大量の熱湯が湧出し、個人でこの温泉掘削に努めてきた川口福太郎・トネ夫婦もまた銀婚式の年回りであったことから、トネの発案で「銀婚湯」と名づけられたそうである。



LEICA M-E / SWH 15mm F4.5 Ⅲ
銀婚湯は道南八雲町の山中にある。近隣には特にこれといった観光地も景勝地もなく、函館、ニセコ、洞爺湖、登別温泉などのメジャーな観光地はいずれも100キロ前後離れている。だから道南観光の一環としてこの辺鄙な温泉宿に宿泊するというプランはほとんど成立せず、言うなれば「銀婚湯に入る」という目的のためだけにここへ来ることになる。



LEICA M-E / SWH 15mm F4.5 Ⅲ
広縁の窓には溢れんばかりの緑が迫っている。露天湯めぐりの合間に、この景色を眺めながらのんびりとひと休み。静かに時が過ぎていく。



FUJIFILM X-T1 / XF56mm F1.2R
9万坪の広大な敷地内には源泉掛け流しの露天湯が5つあって、客はそのうちのどれか一つの木札を持って入りに行く。特に時間制限などはないから、心ゆくまでゆっくり湯に漬かることが出来る。入り終わったら帳場に木札を返して、また空いている露天湯の木札をもらうという流れである。



RICOH GR
もちろん内湯も源泉掛け流しで、ひと晩中入ることが出来る。



LEICA M9-P / SUMMILUX-M 35mm ASPH
ぼくは最近愛読している上林暁の随筆集を持っていって、床の間を枕代わりに寝転がって読み耽った。山奥の古い温泉宿で、いい湯にいい本。そして料理がまた素晴らしかった。秋になって辺り一帯が錦に染まるか、それとも雪の深々と降り積もる師走の頃にでもまた訪れたいと思っている。