旅の途中

千切れ雲 


LEICA M9-P / SUMMILUX-M 35mm 球面





池のほとりにへたり込んで、何もかもどうしてこんなにうまく行かなくなってしまったのかと、その人は嘆息していた。素晴らしい夕焼けが、それこそ燃えるような夕焼けが空を染め上げているというのに、その人はうつむいたまま身動きもしない。いつまでもそうしているうちに、夕空は段々と色を失ってゆき逝き.....
ふと見ると、こんな時間にぽつりと、まだかすかに、ほんのかすかに残照を宿して千切れ雲が浮かんでいた。もうどうにでもなれと思っていたのに今更どうしてなのか!と、その人は胸の内で叫ぶ。しかし、いくら叫んだとて聞こえるわけでもなし無し.....
夕闇の底にうずくまるその人は、もしかすると自分のようでもあったし、幻のようでもあった。
そしてエコーのように語尾が重なるのは..... あれは、アチラ側からの共鳴だったのだろうか?